PC 円卓の生徒


 このゲームの概要

エクスシリーズを開発してきたチームムラマサの新たなる挑戦。

基本的な部分はWIZを踏襲している部分も少なくないが、キャラメイク不可で固定キャラ使用、メインとサポートの2つのクラスを組み合わせる育成システム、トラップポイントによる宝箱の出現など、異なる部分も多い。

円卓の生徒というタイトルからすると学園モノのようだが、主人公が他の仲間に先生と呼ばれ、仲間たちの総称を生徒と定義するだけで全くそんなことはない。

正直製作者の趣味なんじゃないかと感じる。

エロゲではないのでエロCGはないが、生徒たちとの親密度が上がると元エロゲをコンシューマに移植するにあたって仕方なくエロシーンをカットしたかのような性的な関係を匂わせるテキストがある。

箱○に移植されるらしいが…正直売れないだろうなぁ…グラフィック的に地味だし、全てが時代遅れのゲームであることは間違いない。「だがそれがいい」という人向け。

評価できるところ

存在しないと言っても過言でないくらいの非18禁国産PCゲーム市場にソフトを投入したこと。

キャラデザはイース3フェルガナの誓いの人らしく、万人向けと言ってよいと思われる(洋ゲーのやたら濃いデザインや極端にデフォルメされた萌え絵を求める人には最悪だが)

モンスターデザインは非常に硬派なデザインで今時逆に珍しいぐらい正統派な印象。良い印象を持つ人が多いと思う。

思い切ってキャラメイクをなくすことでキャラに個性を持たせ、どうしても淡白なものになりがちなWIZ系のストーリーに深みを持たせたことは評価してよいと思う。

ダンジョンマップが鬼畜すぎず単調すぎずという感じで良い。

評価できないところ

個人的にはやり込み要素が少ないことより、やり込む気にならない要素が目立った。

育成のシステムが正直全然楽しくない。

ノーマルモードとマスターモード(パッチで追加)の2周制は魔界村の伝統を思わせる面倒な水増しの仕方。

仲間が全員集まる時期が遅すぎる。

ゲームバランスはノーマルモードだとそこまでキツくないと思うが、不死と精霊の扱い、そしてその後のパッチ修正の方向性は個人的には不満というかストレスというか、何がやりたかったのか見えない。

連れ去りの理不尽さは正直萎える。もっと違うバランス調整の仕方に頭を使うべき。

片手で使う武器が全体的に弱すぎる気がするのだが…敵が硬すぎる(HPではなく防御力的に)のかなという気もする。

トラップシステムはもう少し工夫しないと単に面倒くさいだけ。

補足・備考・解説・その他

チームムラマサの新規3DダンジョンRPGである。
いろいろと新しい試みがされていることは評価してよいと思うが、問題点、物足りない点も少なくない。
WIZ系ゲームを手がけてきたチームラにとって、キャラメイク不可の固定キャラ制というのは異例。
これによりメインストーリーにプレイヤーキャラが深く関わり、プレイヤーキャラを中心として話が進んでいく。
いわゆるキャラメイク物だとどうしても第三者視点でストーリーが動いていったり、NPCから面倒なことを押し付けられるパシリでしかない感が強かったりするので、そういうものが気に入らない人にとっては素晴らしいことだろう。

個人的にはストーリーは無駄に面倒でなければどうでもよく、固定キャラでも構わないが、育成システムの自由度があるようでないような、またあまりやり込みがいのないシステムになっているのは我慢ならない。
各キャラクターのメインクラスはキャラごとに固定されており、サポートクラスをいつつけるかも含めて自由に選べるという形なのだが、この中途半端な自由さが逆にこのゲームの首を締めているような気がする。
全ての魔法が使えるような万能キャラを作らせたくないという開発側の考え方はわかるし、どういう選択肢を選んでも詰むような事はまずない(サポジョブつけなくてもクリアまでなら余裕というかもしかしたらLV上昇速度の関係でそっちの方が楽かも)ように調整していることは評価できるのだが、それってつまり「育成については別に育成プラン考えたりとか工夫とかしてもしなくてもどうでもいいし、育成システムそのものに大して意味がない」ってことでもある。

サポートクラスは一度つけて他のものに変更すると、それまで育てていたサポートクラスの内容は全て破棄され、新たなサポートジョブをLV1から育てなおしになる。
つまり一度サポートクラスをつけたら引き返せないと考えていい。一応多大な犠牲を払えばやり直せるって感じか。でも多分やる人ほとんどいないと思う。
この仕様もちょっと問題で、いかにもこう…「攻略wiki見てどういう選択がいいのか調べたい」と思わせるような謎のリスクを感じさせる。
さっきも書いたが、実際は別にそんなに考えなくていい。最高効率を追い求めるなら多少前後することもあると思うが、逆に言えば多少前後するぐらいの違いしかない。

僕はWIZ系ゲームを遊ぶ時、1stパーティはまぁ普通の定石パーティで遊んで、ちょっと飽きてきたら2ndパーティで全員全ての呪文が使える万能パーティを作って遊ぶみたいな感じだから、この育成システムはどうもやる気を削がれるな…。
かといってヴァルハラナイツやDQ9みたいに全員が全ての職業をぐるぐるループさせて全体的にレベル上げていかなきゃいけないのも面倒だ。
どうすればいいのかねぇ。とにかくもうちょい練ったアイディアが欲しかった。とにかくこの育成システムは面白くない。

この手のゲームのお約束としてアイテム探しがあるわけだけど、マスターモードでしか出現しないアイテムがかなり多いのは納得いかないな。
ノーマルモードからマスターモードに引き継げるのは所持金とサブクエストの補正値ぐらいで、アイテム類は一切不可。
こんな中途半端な引継ぎならむしろ最初からマスターモードを遊べるバランスにしろと言いたい。
攻略wikiに「最初からマスターモードを遊ぶのはオススメしない」と書いてあったので素直にノーマルモードから始めたが、一通りクリアしてマスターモードに取り組もうかという頃には既にこのゲームに飽きていた。

「また同じことを1からやらされるのかよ」という感じがひどい。キャラメイクやストーリーに自由度のないこの仕様だからこそね。
中盤ぐらいまで進めないと全キャラが揃わないのもかなり苦痛。ストーリー展開の都合でこういう制限をされるのは気に入らない。
もうちょいゲーム進行の仕方に幅があれば「2周目はこういう遊び方をしようかな」とも思えるんだが…。

それとこのゲームは最初、不死と精霊に対して特効のある武器でないとダメージが入らない仕様だったんだが、パッチによって特効がなくても1/3ダメージ通る仕様に変更された。
正直これはひどいと思ったねぇ。初期の仕様も、パッチで修正する方向も。
まずこのゲームは最序盤のダンジョン以外、常に不死や精霊の敵と出会う可能性がある。
そのため、攻撃魔法で対処するか不死や精霊に特効のある武器を用意していないと困る。

恐らく攻撃魔法に存在感を持たせるための仕様だったんだろうが、これが相当面倒くさい。
序盤はまともな対抗武器がないし、攻撃魔法を使えるキャラも限られているし、MPもったいないし、頑張って倒しても別においしくないしってことで苦痛でしかない。トラップポイントでの戦闘でない限り逃げたほうがマシだ。
終盤になってくるとほぼ全ての武器が不死、精霊に対して特効付きというのもわけがわからないところ。
「こんなんだったら最初からこの意味わからん仕様いらんだろ」と言わざるを得ない。

結局、不死と精霊に普通の物理攻撃が効かないという思い切った仕様をうまく調整しきれず、パッチで少しはダメージが入るように中途半端に修正。
僕が開発者だったらこんな調整は絶対やらないね。
開発者としてのポリシーを感じないというか、まぁ悪い仕様を反省してんだからいいだろという意見もあるだろうけど、こんな力技で工夫のない、ゲームの個性をわざわざ消すような、「じゃあこうすればいいんでしょ?これで満足ですか??」みたいな態度の調整は最低。
単純に不死や精霊のHPを極端に低く設定するとか、不死と精霊に限って特効の効果を大きくするとか、仕様の個性を消さずに快適なゲームプレイの出来る調整を目指すべき。
それができないなら最初からこういう極端な仕様は中途半端に残さず抹消すべきだと思う。

あと敵の連れ去りに関して言うと、「ジェネレーションエクスシリーズに比べれば大分いい」という意見もあるようなんだが、個人的にはこの要素自体完全に不要だと思う。
運ゲー要素を加速させるだけで、ゲームとしての面白みにまるでつながらないと思うから。
「連れ去り耐性のある装飾品を装備するかしないかの戦略が熱いんだろうが。ゆとりは引っ込んでろ」という意見もあるだろうが、ぶっちゃけその要素に全然面白みを見出せないんだよね。
連れ去り耐性100%の装備はない(そもそも連れ去り耐性は隠しパラだったり)し、あったらあったで意味ない気がするし、連れ去れたキャラによってはそれだけで致命的な状況(例えば早い段階で主人公や回復役が連れ去られた場合)になってリセットした方がマシだったりするし、何か理不尽で面白くない。

せめて敵にも何か大きなデメリットを持たせろよと思う。こっちの頭数がいきなり減らされてその敵を倒すまで帰ってこないというとんでもないデメリットを背負わされるのに、その行動を行った敵には何のリスクもデメリットもないっておかしすぎる。
例えば敵の行動回数が減るとか、継続ダメージが発生するとか、状態異常になるとか、防御力が下がるとか、それらを組み合わせるとか、敵によってデメリットが変わるとか、それぐらいの工夫はあってもいいだろう。
隠しパラメータで連れ去り耐性を微妙に備えた装飾品を装備するかしないかという面白みより、連れ去りによって発生するメリット、デメリットを考慮した戦闘の方がまだ面白いと思うがどうか。
個人的には最初に書いたように、ただの運ゲー要素でしかないと思うからいらないと思うけどね。こういう難易度の上げ方はおかしい。

トラップポイントの宝箱争奪というのも正直面白くないなぁ。別にWIZ式でいいと思うけどね。
だってこの仕様だとトラップポイント以外の普通の戦闘をこなすメリットが少なすぎるし、宝箱争奪っつってもユニオンスキル使えば別に問題なく宝箱取れるし、宝箱簡単に開けられすぎて罠なんか全く機能してない。
新しいことに挑戦しようとする姿勢は評価するが、はっきり言ってこれはダメだね。本家WIZのシステムから劣化しかしてない。
このシステムによって「めんどくせえ」と思うことはしばしばあっても、「楽しい」と思えることはほとんどなかったからね。

まぁどうしても不満点ばかりを話題に挙げてボコボコに叩いてしまうわけだが、クソゲーってわけではない。むしろよく丁寧に作られているなという印象。
でもシステムは全体的に練りこみが足りないと感じるよ、やはり。
そこは新規タイトルだからある程度仕方ないと割り切れるか、それにしたってこれはいくらなんでもダメと見るかでこのゲームの評価は分かれるかもしれない。
「やり込み要素が足りない」という意見が多かったようだけど、個人的には「やり込みたいと思わせる要素が足りない」と思う。

もちろんそこで求めるのはかつてのPSOのような「(チートでしか手に入らないといっても過言ではない超低確率ドロップの)レアアイテムを大量に追加!!」みたいな話じゃない。
もっとゲームデザインそのものに関わるシステムを練り直して欲しい。もし続編があるのならって話になるけどね。
でもやっぱりチームラには普通にキャラメイクできるダンジョン探索物も作って欲しいなってのはある。
まぁそれよりも重要なのは「チームラ潰れないで」ってことだがね。

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